知らないと損をする!?社会人が覚えておくべき就業規則16選

就業規則がどんなものだかご存知ですか?「なにそれ法律?」「聞いたことはあるけれども内容までは把握していない......」という方が多いのではないでしょうか。意外と知られていない就業規則ですが、知らないと自分が損をしてしまいます。今すぐ役に立つものも、将来役に立つものも含め、知っておくべき就業規則をまとめてみました。

就業規則とは

就業規則自体は法律ではありません。事業主と労働者の間で交わされる会社のルールのようなものです。各会社に共通するものはあまりなく、法律に従ってさえいれば各会社が自由に設定できます。また労働基準法の中に「常時10人以上の労働者がいる事業所は就業規則を定めなくてはならない」とあるため、会社は事業所単位で就業規則を設けなければ法律違反となります。

■ 知っておきたい就業規則16選

厚生労働省が公開している就業規則モデルの中から、どの会社の就業規則にも含まれているべき項目を16箇所抜粋しました。気になった項目があれば、ご自身の会社の就業規則を確認してみましょう。

◎ 1:採用手続

 ・会社は入社を希望する者の中から選考試験を行い、これに合格した者を採用する。

内定通知後の内定取り消しは解雇と同等の扱いになるため、正当な理由が必要です。

◎ 2:人事異動

 ・会社は、業務上必要がある場合に、労働者に対して就業する場所及び従事する業務の変更を命ずることがある。
 ・会社は、業務上必要がある場合に、労働者を在籍のまま関係会社へ出向させることがある。
 ・前2項の場合、労働者は正当な理由なくこれを拒むことはできない。

転勤や出向など、人事異動に関する就業規則です。会社は、本人の同意がなくても社員を異動させることができます。社員のモチベーションを考えた場合、同意なしというのはあまり考えられませんが、権利は会社にあるので、可能性はゼロではありません。ちなみに、この人事異動を拒否すると懲戒解雇処分になることもあります。就業規則に明記されている場合、会社による人事異動命令権は強く肯定されています。そのため「出勤停止」処分だと弱く、命令権が機能しない可能性があるので、会社としては「懲戒解雇」を選択せざるを得なくなるというわけです。

◎ 3:年次有給休暇

 ・採用日から6ヶ月間継続勤務し、所定労働日の8割以上出勤した労働者に対しては、10日の年次有給休暇を与える。

6か月以上会社に出勤し続ければ、最低でも10日の有給休暇がもらえることが法律で定められています。日本人は有給を使わない不思議な民族だと海外からは揶揄されていますが、初年度から年間10日も取得する権利があるんですね。使い切れていないだけの人もいるのかも......。

 ・付与日から1年以内に取得しなかった年次有給休暇は、付与日から2年以内に限り繰り越して取得することができる。

その年に使い切れなかった有給は、翌年に繰り越されます。翌年も使い切れなかった場合には失効してしまうので、連休にぶつけて長期休暇にするなど、極力使いきってしまいましょう。ただし、事業の正常な運営を妨げる場合は、事業主による時季変更権が認められます。

◎ 4:年次有給休暇の時間単位での付与

 ・年次有給休暇の日数のうち、1年について5日の範囲で時間単位の年次有給休暇を付与する。

少し分かりにくいかもしれませんが、1年につき5日以内の範囲であれば、1日分の有給を時間単位で分割して取得することができる制度です。要するに、「午前中3時間だけ有給をとり、午後から出社して働く」といった休み方ができるということです。

◎ 5:産前産後の休業

 ・6週間(多胎出産の場合は14週間)以内に出産予定の女性労働者から請求があったときは、休業させる。
 ・産後8週間を経過していない女性労働者は、就業させない。
 ・前項の規定にかかわらず、産後6週間を経過した女性労働者から請求があった場合は、そのものについて医師が支障がないと認めた業務に就かせることがある。

出産から8週間以外の期間は、申請しない限りは休めません。出産前後の休業を理由に解雇するのは男女雇用機会均等法違反になるので、解雇される心配はありません。安心してお休みをもらいましょう。

◎ 6:育児休業

 ・育児のために休業することを希望する従業員であって、1歳に満たない子と同居し、養育する者は、申し出により、育児休業をすることができる。

自分もしくは配偶者が出産した場合は育児休暇がとれます。ですが、基本的には自分が養育する立場になければ取得できず、子供が1歳になるまでという制限つきです。

◎ 7:介護休業

 ・要介護状態にある家族を介護する従業員は、申し出により、介護を必要とする家族1人につき、要介護状態ごとに1回、のべ93日間までの範囲内で介護休業をすることができる。

取得できる日数が少なく感じられるかもしれませんが、要介護状態から回復した家族が、再び要介護状態に陥ったときに再度介護休暇を取得することができます。介護士不足が予想されるこれからの社会において、確実に使用頻度が増える規則です。

◎ 8:裁判員等のための休暇

 ・労働者が裁判員若しくは補充裁判員となった場合又は裁判員候補者となった場合には、休暇を与える。

平成21年度から実施されている裁判員制度ですが、社員の中から裁判員が選ばれた際に休暇を与えることは法律で義務付けられています。しかし、この休暇を有給にするか無給にするかは会社に委ねられているため、確認が必要です。また、仮に有給になったとしても、裁判員としてもらえる日当とあわせて報酬の二重取りとはならないのでご安心を。

◎ 9:割増賃金

 ・時間外労働に対する割増賃金は、所定の割増賃金率に基づき、支給する。

残業や休日出勤をすると、通常よりも与えられる賃金が上がります。この割増賃金率は会社によって異なりますが、法律によって最低限度率が定められており、残業の場合は25%、休日出勤の場合は35%のアップが保証されています。月給制や時給制などの賃金体系、残業時間によっても割増賃金率が変動する場合があるので、注意しておきましょう。

◎ 10:代替休暇

 ・1ヶ月の時間外労働が60時間を超えた労働者に対して、労使協定に基づき、代替休暇を与えるものとする。

通常1ヶ月に60時間以上の時間外労働をすると、割増賃金率が50%以上になると定められていますが、働きすぎて健康を損ねる恐れがあります。そのため、働きすぎた時間分を有給休暇に変換できるように定める法律ができ、就業規則にも定められています。

◎ 11:賞与

 ・賞与は、原則として、算定対象期間に在籍した労働者に対し、会社の業績等を勘案して支給する。ただし、会社の業績の著しい低下その他やむを得ない事由により、支給時期を延期し、又は支給しないことがある。

いわゆるボーナスですが、支給は法律で義務付けられていません。社員のモチベーションのために設けられていることが多いですが、その場合上記のように、業績によって支給されない旨が明記されています。また、ボーナスの額も会社が自由に定めているので、基準を確認しておきましょう。

◎ 12:定年

 ・労働者の定年は、満60歳とし、定年に達した日の属する月の末日を持って退職とする。定年後も引き続き雇用されることを希望し、解雇事由又は退職事由に該当しない労働者については、満65歳までこれを継続雇用する。

会社は、社員が一定の年齢に達したことを退職の理由にできます。しかし、老齢厚生年金の受給開始年齢引き上げにより、会社は社員に対して、「定年を引き上げる」「継続雇用制度の導入」「定年の定めの廃止」のいずれかの措置を講じることを義務付けられました。ちなみに、定年年齢は60歳を下回ることはできないため、希望した社員は、65歳まで継続勤務、もしくは60歳以降から子会社・グループ会社で働くことができます。

◎ 13:退職

 ・退職を願い出て会社が承認したとき、又は退職願を提出して14日が経過したとき、退職とする。

期間の定めのない雇用の場合、労働者はいつでも退職を申し出ることができます。仮に会社の承認がなくても、退職の申し出をしてから14日が経過すれば、自動的に退職となります。権利としては労働者が保持しているものですが、お世話になった会社に迷惑をかけないよう、常識の範囲内で行使するように心がけましょう。

◎ 14:解雇

 ・労働者を解雇する場合は、少なくとも30日前に予告をする。予告しないときは、平均賃金の30日分以上の手当てを解雇予告手当てとして支払う。ただし、予告の日数については解雇予告手当を支払った日数だけ短縮することができる。

解雇する側は少なくともひと月前には解雇予告をする必要がありますが、そのひと月分の給与を支払えば即日解雇も可能です。しかし、これは社員側に不利なため、解雇される理由が客観的に納得されないような理由の場合は解雇が無効になる規定が、改正労働基準法にあります。

◎ 15:健康診断

 ・労働者に対しては、採用の際および毎年1回(深夜労働に従事するものは6ヶ月ごとに1回)、定期に健康診断を行う。

健康診断も就業規則に入っているの?と驚かれる方もいるかもしれませんが、これは法律で定められている事柄です。世のお父さん方がある時期になると「健康診断が......」とぼやくのは、年に1回会社で健康診断を受け、健康状態を会社に把握されてしまうからなのですね。

◎ 16:公益通報者の保護

 ・会社は、労働者から組織的又は個人的な法令違反行為等に関する相談又は通報があった場合には、別に定めるところにより処理を行う。

平成18年に施行された公益通報者保護法によるものです。簡潔にいえば、内部告発者(公益通報をした者)に対する解雇や減給などの「不利益な取り扱い」が禁止されます。

■ 番外編

・休職
パワーハラスメントの禁止
・兼業禁止
・慶弔休暇
・病気休暇
・家族手当
通勤手当
・役付手当
・技能・資格手当て
・精勤手当
・退職金

上記のものに関しては、就業規則に明記しなければならないという法的義務はありませんが、多くの会社が就業規則に定めています。

■ 権利と義務を把握するのも社会人の務め!

就業規則は、その会社で働くための約束事をまとめたものです。いつでも見られる状態にしておくことが会社の義務であり、労働者の権利になっています。これを機に、自分の会社の就業規則を見直し、いざという場面に備えてみるのはいかがでしょうか。新入社員の方も自分の権利を知っておいて損はないはずです。


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